–今まで様々な仕事をしてきたと伺いましたが、具体的にどのようなことをされてきたのですか？

とある理由で、大学を中退しました。そのあとは、飲食、運送、イベントなどのバイトを転々としていましたね。

バイト先のひとつだった飲食店で一度正社員になったものの、身体をこわして泣く泣く退職。そこからは「せどり」などの自営業で食いつないできました。

— 自営業を続けていく中で、新しく仕事を探そうと思ったきっかけは何だったのでしょう。

そんな生活も10年を越え、気づけば自分も35歳になっていました。

「このまま不安定な暮らしを続けていていいのか」「なにより母親を安心させたい」という思いのもと、社会人のブランクがあり不安でしたが、定職を探す決意をしました。

–ワタナベさんにとって、10年ぶりの転職活動でしたが、はじめてみていかがでしたか。

もちろんすぐに受かるとは思っていませんでした。でも、現実は想像以上に厳しかったですね（笑）

いろんな業種、職種の仕事に応募するものの、ほとんどが履歴書で不合格。面接に進んでも、僕の経歴を見ていい顔をする人はいませんでした。

—厳しい状況で転職活動を続けていく中、現在の会社だけは違う反応だったとか。

はい。そんなとき、たまたま今の派遣会社に出会って。学歴も職歴もない自分を、とてもあたたかく迎え入れてくれて。「いい仕事が見つかるまで、一緒に探しましょうね」という言葉は、転職で不安だった自分にはとてもうれしかったですね。

勤務地、収入、仕事内容などを考慮して、最終的にはエレベーターの組立の仕事で働くことが決まりました。

–製造業は初めてだと思うのですが、慣れるまでの不安はありませんでしたか？

仕事は楽しいですよ。初日に研修があって、試験を受けてからの現場デビューだったので、製造の経験がない僕でもすんなり慣れることができました。

派遣会社の営業さんも月に3～4回は会いに来てくれるので、とくに不安なことはありませんね。

–この仕事をはじめて、よかったことや変化したことなどはありますか？

ありがたいことに、最近「ウチ（派遣会社）の社員にならないか？」というお話もいただいていて。今は目の前の仕事をがんばりたいと思って、回答は保留中なんですが（笑）ここに来るまで、収入も安定せず、日々の生活すらままならない状況でした。でも、今は日々の仕事があって、安定したお給料もあって、ようやく「ちょっと先のこと」も考えられるようになりました。

–派遣会社より

私たちが大事にしているのは「マジメに働きたい」という気持ちがあるかどうか。

大学や高校を中退した人。何度も転職を繰り返している人。ずっと無職の人。そんな人たちをたくさん見てきましたし、そんな人たちが「生まれ変わる」瞬間も何度も見てきました。だから、たいていのことでは驚きませんよ（笑）

「派遣」と聞くとドライな関係をイメージするかもしれませんが、ウチでは「人と人」の関係を大切にしています。といっても、「メールではなくできるだけ直接会う」「書類はひとつひとつ読み上げて確認する」なんて小さなことばかりですが（笑）

でも、おかげさまでウチの仕事を辞めたあとも名古屋に来るたびに顔を見せに来てくれるスタッフや、「子どもが生まれたんですよ～」と報告に来てくれるスタッフがたくさんいるんです。これはうれしいですね。

ずっと派遣じゃなくてもいいですし、単なる「つなぎ」でもかまいません。「働きたい」という想いが少しでもあるなら、私たちは力になりたいと思っています。